8月の記録的な大雨で広範囲に浸水した佐賀市の市街地。佐賀大近くの「焼肉さるさ」にも水が入り込んだ。アニメ「機動戦士ガンダム」ファンたちが集う店のシンボルだったキャラクターの木彫りも店先から漂流。被害が比較的軽く、すぐに営業を再開できたが、県内には今も先が見通せない店も多い。「復興に少しでも貢献したい」。店長の古賀新治さん(47)は売り上げの一部を被災者に寄付することを決めた。
同店は2007年、佐賀市赤松町で開店。店内には古賀さんが愛するガンダムのプラモデルがずらり。古賀さんの時計や靴は人気キャラクター「シャア」のシンボルカラーの赤でそろう。玄関には小型球形ロボット「ハロ」の木彫りが置かれ、ガンダムファンや学生たちを迎えてきた。
木彫りの重さは30キロほどで台風にもびくともしなかったが、あの日は違った。
8月28日朝、店一帯は膝下まで冠水。店内の一部が水に漬かり、ハロが流された。「今回の豪雨は化け物か」。従業員たちにLINE(ライン)で状況を伝えると、佐賀大に通う従業員から「サークルの先輩の家までハロが漂流していた」と連絡があった。誰が運んでくれたか分からないが、その日の夕方にハロは店に戻った。「こんなにうれしいことはない」と古賀さん。会員制交流サイト(SNS)では「心温まる話だ」と反響が相次いだ。
発生直後は自らの店の片付けなどに追われたが、日を重ねるうちに周囲の被害の大きさが伝わってきた。大雨から3週間が過ぎ、被災地への世間の関心が薄まっているようにも感じ始め、寄付を思い立った。
古賀さんは「深刻な被害に悩む人がたくさんいる。元気な自分ができることをしたい」と話している。
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掲載記事を店に持参すると、飲み放題の料金を1グループにつき最大4人まで半額とし、その売り上げを寄付金に充てる。今月末まで。焼肉さるさ=0952(23)5991。(金子晋輔)
西日本新聞社
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